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既存事業での大幅な数量増が見込めない経済環境の中、当社の提唱する『全体最適を追求し、収益最大化を目指す』取組みに多くのご相談を頂いております
『全体最適』を追求することは、企業の持つポテンシャルを最大限に引き出す活動で、言い換えれば現有する経営資源を最大限に有効活用しようと言う取組みです。このため、ここへ来てなお一層【営業部門】への注目が高まっています
その背景として、装置・加工系企業においては、従来の営業活動の成果であった売上数量の増加が、工場の稼働を確保し、収益向上に直結していました
しかし、昨年来の世界同時不況で数量増が望めない経営環境になり、数量の増加を前提としない収益確保・向上策が必要になったからだと考えています
この経営環境の変化により、従来の改善改革のように数量増を前提とした活動ではなく、既存事業の中で受注の入り口を担う営業部門を巻き込んでの全体最適視点での活動に注目が高まってきました
そもそも、数量増=収益増の環境であれば、営業は受注活動に邁進していればよかった事は言うまでもありません。しかしながら、数量増が望めない今、生産設備やそれに携わる人を抱える装置・加工系の製造メーカーは、経営資源をいかに有効活用するかが収益確保・向上の大きな鍵になります
では一体、営業部門が顧客との接点においてどのような役割を果たせば、市場環境が大きく変化した状況で、収益最大化に貢献できるのでしょうか?
多くの企業で明確化されていないのが実態です
特に営業部門を対象にした改革改善は、聖域化されている企業が多く、社内の関係部門からの働きかけによって変化したり、ややもすると経営者からの指示であってもなかなか変化させることは難しいのが実状のようです
しかしながら、これからの収益確保・向上のためには、顧客との接点である営業部門が企業の先頭に立ち収益をコントロールする必要があり、その意味から『収益の源泉は営業部門にあり!』と当社は考えています
営業部門の役割を収益に貢献するように改め、意識を変革する進め方は、各企業の文化や風土、歴史、環境など様々な特性があり、それぞれの進め方に特徴がありますが、次のふたつのポイントがありますのでご紹介します
ひとつ目は、『評価』の問題で一番重要な問題です。
営業に限らず、行動を変革するには評価軸の変更が伴わなければなりません。なぜなら、人は評価軸に沿った振る舞いをするからです
例えば、評価の軸が売上高から利益額に変えようとすると、実際の現場の営業マンもそうですが、管理職クラスの意識も変えなければなりません。大変に重い問題です
ふたつ目は、営業部門の役割がどのように収益とつながっているかを明らかにすることです
たとえ評価が変わったとしても、実際にどう企業収益に貢献するのかが見えないと、動機づけができません。なぜなら、行動・役割と実際の収益とのつながりが理解できないと行動に移せないからです
このふたつのポイントを実際に明らかにしてうえで実現した企業の例を事例でご紹介します
事例
この事例は、化学メーカーで市場規模が徐々に低下し、競合関係も多く、価格勝負になっていた市場における、収益性が高い企業(A社)と低かった企業(B社)の事例です
特性としては、装置産業であり、工場の稼働により固定費を回収する収益構造です
両社の違いは見積金額作成のプロセスにあり、根本的な経営管理や経営哲学のレベルで大きな違いがありました
A社は、管理会計を使い、顧客の将来性や競合先との関係などを考慮して、入札時の状況に応じ、提示金額を決定していました
具体例では、工場の稼働が減少している時期に、どうしても受注して工場の稼動の確保をしたいときには、営業利益が赤字であっても、限界利益が黒字であれば、受注を優先するために安い金額で提示していました。その結果、長期的に見ると工場の稼働は安定し、それに応じて収益性も安定しています。また、見積価格の決定権限を工場長(通常の会社の支店長)が持っており、製販一体で収益を管理・統制できる体制でした
一方B社は、工場からの社内引渡価格に物流費を含む販売管理費と営業利益を乗せて見積価格を提示していました
その結果、価格勝負の市場では新規案件の受注が思うようにいかず、工場の稼働も低下し、収益確保がままならない状態でした。また、見積価格の決定権限は営業本部長が持っており、失注すると『製造原価が高いからだ』と生産側に申し入れをすることしかできずにいました。部門の壁もあったのです
上記のような視点の違う経営を続けた両社は、A社は業界トップの地位に、B社は下位に甘んじていました
当社は、B社から物流コスト低減で相談を受け、支援していましたが、その活動中にB社の置かれている経営環境を考えると、A社のような、収益確保・向上策が必要だと考え、提案をしました。経営トップが導入を決意され、見積金額作成のプロセス再構築もあわせて支援しました
経営トップからの強い指示が出ましたが、営業部門の意識はそう簡単に変わりません。営業利益が赤字でも、限界利益が黒字で、全社の収益に貢献すれば、従来の評価軸からは有り得ない(安すぎてあとで責任を取らされるのではないかという不安)見積金額を提示することもあるので、営業本部長以下、現場の営業マンまでの意識を変える必要がありました
意識改革のために必要な説明資料作成やシミュレーションによる検証を事務局メンバーとコンサルタントが一緒になって作成し、実際に行動に移した場合の収益への貢献度を営業部門全員に理解してもらうには、大変な苦労と忍耐が必要でした
結果、見積金額作成プロセスの再構築と評価軸の変更をほぼ同時に実現できました。それにプラスして、物流コストの低減と合わせ、市場環境の変化に対応できる強い経営基盤構築の第一歩を支援できたと確信しています
いかがでしょうか
この事例は、事業特性に合わせて、長年の歴史で培われた経営管理の方法を大きく変えた事例です
営業部門の行動を変え、あわせて評価軸を変えるには、大変なパワーが必要です
私ども外部の役割としては、手法やノウハウの提供やメンバーとの協業作業は当然のことながら、社内では変えることの難しい営業部門を巻き込んでの思い切った改善改革には、中立的第三者である外部の力が必要だと実感した案件でした
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