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『全体最適』の中での営業の役割とは
前回の内容を簡単に振り返ります
既存事業で大幅な数量増が見込めない環境の中、既存事業で受注の入り口を担う営業部門を巻き込んだ全体最適追及の活動で収益を確保することに注目が集まっています。その理由は、数量増が収益増に直結する環境であれば、販売数量を増やす受注活動に邁進していればよかった事は言うまでもありませんが、数量増が望めない今、経営資源をいかに有効活用するかが収益確保・向上の大きな鍵になるからです
しかし、営業部門が顧客との接点においてどのような役割を果たせば、収益最大化に貢献できるのかについては、多くの企業で明確化されていないのが実態です。また、営業部門を対象にした改革改善は、聖域化されている企業が多く、たとえ経営者からの指示であってもなかなか変化させることは難しいのが営業部門の改革の実状です
しかしながら、これからの収益確保・向上のためには、顧客との接点である営業部門が企業の先頭に立ち収益をコントロールする必要があり、その意味から『収益向上の源泉は営業部門にあり!』と当社は考えています
ポイントはふたつあり、
ひとつは営業に対する評価(軸)の問題(例えば売上高重視から、収益重視への転換)。
ふたつ目は、営業部門の役割がどう収益につながっているかを明らかにする
ということでした
今回は、実際問題として営業行動・役割のどこが収益と関係するかをご案内します
代表的なものとして、営業が顧客と決める取引条件があります。中でも取引開始時の設定と実態とが乖離し、収益の損失につながることが多いのは【納入条件】です
例えば、納入時間指定の実態を知らない営業が多い実態があります
ある企業であった話では、納品時に半日以上も配送トラックが現場で待たされる実態があったそうで、某日に物流部門が運送業者にコスト交渉を持ちかけるとその実態を持ち出され、交渉が滞ったということがありました
また、納入数量の減少という問題もあります
当初設定した納入数量から、顧客の販売減少に伴い細かい数量で納品対応するケースです
単純に考えれば、物流コストがアップする分を単価に上乗せすればすむ話ですが、実際問題なかなか顧客に対して話を持ちかけるのは難しいようです。
この問題は、物流費だけではなく、生産側の稼働減少などの問題とも絡み、生産側にも影響を及ぼします
とかく営業部門では、顧客に申し入れをすることが顧客の機嫌を損ねて失注につながるとか、将来の営業活動に影響が出て、自らの売り上げが減少するのではないかという不安感から、なかなか行動に移せないのが実態ではないでしょうか
しかし、経験上そんなことはありません
余談ですが、この時代に商売上で上下関係を気にするようでは生き残れません。あくまでも顧客とはパートナーである意識を持って接するべきだと考えます。(仕入先や委託業者に対しても同じことが言えます)
確かに大きな収益を依存している顧客に対し、小さな売り上げのアイテムの事をいちいち荒立てることはないという営業的、経営的、政策的な判断が必要な場合はあるのでしょうが、間違いなく本来得られるはずの収益を損失しているのは事実です
一方社内においては、コスト発生部門(生産、物流など)が必死になってコスト削減に取り組んでいるのですから、コスト決定部門である営業部門も一緒になって全体最適追求による収益最大化を目指すべきではないでしょうか
ここでわかりやすい事例を紹介します
事例
この企業は、当社のセミナーに生産本部長が参加され、ご相談いただいたことから、支援活動が始まりました
生産側では、期首に設定された標準原価と実際原価の差を評価にしてきました。営業側は、実際の販売価格から工場からの受渡価格を引いた粗利が評価基準になっていました
しかし、生産側と営業側の二つの収益を足したものが、会社全体の収益(財務会計の収益)と大きく合わない状況が続いたことが背景で、ご相談いただきました
原因を簡単に言うと、市場環境の変化により物流費が思いのほか増加していたことにありました
そこで相談を頂いた当社では、メンバーと一緒になって全体収益の実態が明らかにできる資料を作成し、顧客別損益と単品別収益がわかるようにしました
それまでは大口の顧客が、収益の柱だとの意識からか、要望に応じて様々な対応を取っていたことで経費が重くのしかかり、収益を圧迫していたのでした
また、顧客別の収益実態が明らかになったことで、この大口の顧客が必ずしも収益的に貢献しておらず、中堅の顧客で取引条件などの面である程度しっかりと付き合えている顧客(言いたいことが言える顧客)の方が収益率の面では優良な顧客だということが判明しました
そこで、この実態を全社の共通認識とした上で、各部門の代表者で構成されるプロジェクトを立ち上げ、顧客別、単品別の収益改善の方向性の検討に入り、その結果を各営業マンの実務レベルの行動まで落としこみ、徐々にではありますが収益確保の方向に向かい始めました
営業部門の行動変革は、大きくふたつありました
ひとつは、販売動向の把握です
これは購買から生産、物流にいたる一連の業務プロセスを計画的に行うことを目的に実施しました
従来の購買窓口ばかりではなく、顧客の販売部門に情報収集をおこない、その情報を社内にフィードバックした上で、生産計画、配送計画を決定するようにしました
もうひとつは、実際に納入指示を受けた段階で、受注部門が配送車両の積載率などを考慮しながらコストミニマムになる納入数量や納入回数の希望を営業部門に伝え、それを受けた営業が顧客と調整するようになりました
昨今、顧客(ユーザー)からの要望は厳しくなる一方ですが、サプライヤーとしての責任を果たしながらも、事業収益を確保する方向も志向し始めなければ、収益悪化に歯止めがかからないばかりか、収益向上の糸口も見えないのではないでしょうか
この企業では現在、収益を向上させる生産品種の組み合わせ(生産プロダクトミックス)を意識したアイテム数の適正化(アイテム削減)や自社工場の稼働状況を見ながら重点販売製品を決めたりすることに取り組んでおり、現状における対応型の改革からもうワンステップ上がり、将来の収益向上に向けての活動を展開しています
いかがでしょうか
この事例の出発点は生産本部長からのご相談でしたが、全社で取り組む活動企画立案を経て、難しい営業部門の行動変革につなげた事例です
当社では、営業部門が納得して行動に移せるような大義名分となる資料の作成支援から、部門をまたがる課題解決に必要な判断のものさしである評価(統制)指標の提供、全社最適を追及する関係部門を巻き込んでの活動支援を提供しています
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