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HOME > コラム > 第8回収益重視の全体最適運営を実現している先進的企業のご紹介



今回は、当社の提案する全体最適を既に実現している企業をご紹介いたします。これから取り組まれようとされる方には参考にしていただけると思います

企業概要は、総合繊維大手で、売上約2,000億円、従業員数約5,000名で、素材を中心に製造販売しています。ユーザーは主に加工メーカーで、生産は見込み生産方式です

お話を伺った役員の方は3つの事業部門を統括されている役員の方で、当社セミナーにご参加いただき、その後のご面談で詳しいお話を伺いました

お話の中でしきりに『当たり前のことをやってきただけ』とおっしゃっていましたが、ここまで徹底して全体最適を追求し、収益管理を実現している企業はそう多くはありません

実際には以下のようなことに取り組まれています

1.前提として、管理会計が全社的に充実

全社情報システムに管理会計が整備されていて、データをそれぞれの事業本部毎に、特性や必要に応じて加工・使用できる基盤を持っています

 ⇒管理会計を導入している企業は多くありますが、実際の事業活動に活かされていない企業が多いのが現実です

2.予定原価の算出と使い方

毎期、営業の計画をもとに、生産側は製品毎に生産配分や工程の割り付けを行い、変動費の予測を含めて、予定原価を算出しています。

予定原価は、事業本部内で公表され、生産・営業・開発のそれぞれの実務担当者まで内容を理解しています。

実際の活用場面として、たとえば、得意先からの受注が減り、生産数量をどうするのか?という判断の場面で、数量を予定通り生産して在庫を持ったほうがいいのか、減産し在庫を持たないほうがいいかの判断を収益およびキャッシュフロー的にどちらが有利であるかを、即時に判断しています。

メーカーなんだから、売る人も造る人も実際の原価を理解していて当然だし、当たり前のことをやっているだけです

 ⇒個人のスキルとして感覚的に収益構造を理解している方はいらっしゃいますが、収益を定量的にシミュレーションできるしくみを企業としてもち、日常業務のなかで運用しているとは・・・まさにコンサルタントいらずの企業だと、冷や汗が出ました

3.個別案件対応時のマネジメント

個別案件におけるマネジメントの場面では、製造原価ギリギリでしか市場で勝てない場合、限界利益を確保できているのかを確認した上で、他の製品の固定費負担が軽くなり、事業本部全体の収益に貢献するか否かを考慮して、営業部長が受注判断をしているとのことです。事業のスピードから見ても、営業部長の決裁を得るまでが時間的には限界です

 ⇒収益への貢献度をはかる物差しと判断の基準が明確で、事業の方向性を間違えないという信頼があるからこそ、営業部長に権限委譲ができるのだと感じました

4. 全体統制のしくみ

どこの企業でも風土的に営業が強いと思うが、当社もそうで、会議の席では声の大きさで、生産側が負けてしまうケースがありました。
そこで、もともと事業損益集計などを担当していた「管理室」という部署に製販のバランスを取る役割を持たせ、営業・生産・開発が集まる会議で全社最適の視点から、収益最大化の方向へ舵を切る役割を任せています

 ⇒従来の集計が主な仕事であった部署に、全体最適を実現するための統制機能を持たせ、事業本部内の行司役にした点は、当社の提案する統制機能(権限を持って管理する機能)と同じもので、必要に応じて整備されてきたとのことですが、その過程では大変な苦労があったのだろうと感じました

5. 体質強化への原動力と実現までの期間

過去の厳しい時代に、資産を処分して財務会計の帳尻を合わせたり、経営効率の向上を狙って不採算部門からの撤退など、かなりのリストラを経験してきました。その厳しさを社員が肌で感じ「うちの会社も危ないんだ」という危機感が従業員の意識の根底にありました。
その上で、収益管理の必要性を事業本部の管理職層が理解し、それを実務者層に時間をかけて落とし込み、企業としての基盤を構築してきました。
現在のような事業本部全体で全員がコスト構造を理解し、収益向上に向けた体質に改善されるまでに【10年前後】の年月がかかりました

⇒収益性重視の体質に変革することはそう簡単ではありません。もし収益重視への価値観の変換の必要性を感じているのであれば、取り組むのが早いに越したことはありません

6. 予実績管理について

実績については毎月全社部門の主要管理職が集まって、製販バランス等を調整する会議で、目標に対しての実績の差について徹底した原因追求をおこなっています。
また、目標が現実に沿ったものに設定できているかどうかを重要視しています。前年対比一律10%アップだ!みたいな、いい加減な目標設定はもってのほかだと思います

⇒原因追求が出来るのも管理会計などのインフラが整備されているからなのでしょうが、評価のもとになる「目標設定」を重要視するあたりが、徹底している証なのだと感じました

7. 評価について

結果は事業本部全員の責任だと考えており、営業が悪いとか、生産が悪いとか言う部署別の評価はしていません。評価は事業本部全体に対しておこなっています。
また、結果を評価に反映し、従業員のモチベーションに寄与する人事的なしくみも合わせてとっています

⇒成果主義は成果主義なのだが、個人に対してだけではなく、事業本部全体に対しておこなっており、このあたりも全体が一丸となってベクトルをあわせられるひとつの仕掛けなのだろう。また、成果がすぐに評価につながる工夫で従業員のモチベーションを鼓舞するあたりは上手い仕掛けだと感じました

8. 損失コストの管理について

収益向上の取り組みの他に、物流などで発生する損失コスト(手配ミスや返品にかかる費用のたぐい)については、上記で紹介した「管理室」で合わせて管理をしています

⇒管理会計では見えない部分に対しても徹底的に手を打っている印象を受けました

9. 今後の方向性について

今できることは、「出る(ムダ)のを減らす」ことです。
とにかく量が回復して欲しい
能動的に量を増やす戦略も進めたい
管理面に関しては、現状これ以上やりすぎても管理過多になるので、状況に応じて、考えていきたいと思っています

⇒状況に応じてやるべきことが明確になっているということなのだろう。ただ、景気回復を望むあたりはどこの企業も今が苦しい時期であることを感じさせた

10.まとめ

今のようなマネジメントのやり方を志向する以前は、この先どこから手を付けていくべきか悩んでいました
厳しい状況のなかで、必要に応じて、メーカーとして当たり前のことをやってきただけです。ここまで来る道のりのなかで、優秀な人材がそろっていたという前提はありますが、思いを理解し、共感し合えたのは幸いだったと思っています

⇒やるべきことを見つけるまでは苦労したことを感じました。
しかし、ここまで徹底した収益管理のマネジメントをおこなっている会社に「当たり前のことをやっただけ」と言われるとやはり返す言葉がありませんでした。
部下であり仲間である従業員への賛辞をされたあたりは、この方の人間的な器の大きさを感じました

皆様いかがでしょうか。

一貫して、【必要に応じて、当たり前のことを、当たり前のようにやってきた】ということなので、特別なことをやってきたわけではないというお話ですが、従業員全員が取り扱っている商品のコスト構造を理解し、収益を意識した行動をとることはそう簡単に出来るわけではありません

営業側から「コストが高いから売れない」とか、生産側から「こんな計画変更ばかりでは効率が悪くて困る」などと不満が聞こえてくるようであれば、収益向上に向けた全体最適を考えた事業活動になっていない証です

確かに、ご紹介した企業のように変革するには、基盤を強化して、体質を変え、評価基準を変更し、さらに運用定着のために情報システムなどのインフラを整備したり、簡単なことではありませんが、始めないことには、物事は前には進みません

皆様の企業に照らし合わせてみてください

困ったな・・・と感じたら是非ご相談下さい

事業特性を考慮してやるべきことの方向性や企業特性に合った進め方を自社で取り組むより短期間で実現するお手伝いをいたします




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