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HOME > コラム > 第15回事業の方向性を見直す取組みのご紹介 その1



今回は、<事業の方向性を見直す取組みのご紹介 その1>と題してご案内します

 昨今、多くの企業で、

「グローバル化の尚一層の進行」
「市場ニーズの多様化」
「多品種少量販売の常態化」
「強力な競合メーカーの出現」
「製品ライフサイクルの短命化」など、

今まで経験したことのない、激しい変化に直面しております

事業責任者の方には、収益の確保と継続的な事業運営を実現するための強い体質づくりが普遍的に求められています


最近そうした事業責任者の多くの方にご相談を受けた内容をひとことで言うと以下の通りです

『環境は激しく変化している。変化に対応するために変えていかなければならないことはわかっているが、どう対応していいのか、どこから着手していいのか、どう進めていいのかわからない』というものです

そこで、今回のテーマ<事業の方向性を見直す取組みのご紹介>をご案内することにしました。内容が多岐にわたるため、2回に分けてご案内いたします

今回は、当社が支援する場合の一般的な進め方を紹介し、次回で実際の企業で支援した実例をご紹介します


 本題に入りますが、前回ご紹介した通り、『事業の方向性の見直し』には、現状実態の把握が必要です。

『事業の方向性の模索は、まず自分たちの足元を正確にすることから始まる』
と前回もご案内しました

「そんなの当たり前じゃないか!」という声が聞こえてきそうですが、今まで相談を頂いた企業では満足にできていたことはありませんでした

「今販売している製品(群)で一体何が一番儲かっているのか?」

この質問に明確にデータをもとにお答えいただけた経営者の方は皆無です

是非、現状実態把握が十分に出来ているか以下の手順に沿って検証してみてください

 企業内では役割を分担して事業の目的を達成していますが、自部門の利益を追求しているばかりでは、部分最適の追求になってしまいます。
その意味からも全体最適の視点から鳥瞰し、事業全体を把握するアプローチが、事業の方向性を決定する道筋だと考えます

それでは実際の手順です

最初は、【事業構造把握】です

事業構造とは、事業の目的、提供する付加価値、マーケット収益獲得に不可欠な基本業務、基本業務の運用のことです

事業構造を把握する目的は、事業構造に沿った要件と水準の過不足を知り対策検討に役立てるためにおこないます

『ビジネスモデル』

・目的は、典型例と現モデルの比較により、マーケットに対峙する基本業務の過不足と同業務の再選択に役立てるためにおこないます
・事業の方向性に対して必要なビジネスモデルと、現状のビジネスモデルを比較し、基本業務に過不足がないかを判断するとともに再選択に役立てるためにおこないます
・基本業務の典型例とは、メーカーであれば「生産」「技術開発」「販売」「マーケット開発」「物流」です。最近では、当社の提案する「業際間統制機能」が必要な企業が増えています
・基本業務の再選択とは、自社生産していたものを委託生産に変更したり、生産部門を子会社化したりすることなどです。事業の方向性を実現するために必要な場合は現状のビジネスモデルを見直す必要があります

1.png作成例

『ビジネスプロセス』

・目的は、事業遂行の基本業務の流れを確認し、過不足と役割分担、基本業務の選択検討に役立てるためにおこないます
 ・ビジネスモデルが変わると、ビジネスプロセスも変わりますので、新たに必要な基本業務を追加しないと、事業として欠陥を抱えることになりかねません
 ・過去にお手伝いをした企業を紹介すると、本体の生産機能を関係会社に移転した際、本社では新たに<調達>という基本業務が必要になった例があります

『事業定義』

・この事業定義が最も重要かもしれません
・目的は、事業定義の要件を種々のしくみが満たしているか確認するために作成します
・今の事業の定義を最近のマーケット状況に合わせて検討し、必要があれば再定義をおこないます。再定義をすると、上述のビジネスモデルとビジネスプロセスが変化することがあります。その場合、基本業務に過不足が生じないか、注意が必要です

事業定義に含まれるべき一般要素は次の通りです
・顧客は誰か
・目的は何か
・提供するものは何か
・どのように提供するのか
・顧客の得られる効用と満足は何か

事業の定義は、企業の皆様がわかっていて当たり前のようですが、製品を通して市場に提供している効用や満足がどういったものかといった視点で理解していることが少なく、外部の支援が有効です

言われればわかるのですが、自社の製品はお客様や最終消費者のどんな欲求を満たしているのか? こういった視点は日常業務の中ではなかなか発想できないもののようです
2.png(例)窓用シャッター・メーカーの事業定義

『製品体系』

・目的は、製品群別のマーケット用途を知り、QCDSからみた問題・課題抽出をするためにおこないます
・製品体系とは、事業の製品または製品群が、どのマーケット用途に提供しているのか表形式に視覚化したものです
・整理のしかたは難しくありませんが、縦軸と横軸の区分が以外にうまくできないことが多いようです。通常は、縦軸に製品群、横軸にマーケット用途をとり、交点に印を入れます。出荷した製品が、どこの市場で使われているかマトリックスの表にまとめます
・特に、横軸のマーケット用途をうまく区分できないようで、その原因は今回ご紹介するような考え方で管理をしようと意識してこなかったことと、代理店や商社経由での販売の場合、自社製品が最終製品のどこに使われているか用途がわからないケースが多いようです
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『製品定義』

 ・目的は、製品定義を確認し顧客から見たQCDSが十分かどうか確認するためにおこないます
 ・製品定義を確認する過程では、「何のためにあるのか」「その製品の目的は何か」「その製品はどんな機能を実現するのか」「その製品はどんな効用を提供するか」など、改めて考えることが欠かせません。このように考え、定義することで、【顧客に提供するものは何なのか】わかるようになってきます

『生産分担マップ』

・目的は、自社生産を含む生産分担の再検討をするためにおこないます
・生産分担によって、営業利益も変化します
・生産分担を含む調達方法の再検討は、前述のビジネスモデル・ビジネスプロセスの変更にもつながるので、注意が必要です。また、原価管理、見積方法、収益管理、統制方法も変化します
・生産分担マップとは、製品の品揃えを、自社複数工場あるいは自社生産を含む外注や購入などの製品調達先をどのように分担するか表した鳥瞰図で、一般的に表形式で表し、一方の軸に製品群、もう一方に調達先を採り、交点に印を入れます。事例では、生産分担マップをやって初めて委託工場の存在する意味が明確になったという企業もありました
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次に、【収益構造の可視化】です


 収益構造とは、マーケットから獲得する収益の実態を、マーケット用途と企業の経営資源の投入状況の関係のことです

 収益構造を知る目的は、事業収益の源泉と採算性の確認により、経営資源の再配分に役立てるためです。
課題抽出には、『なんとしてでも改善しよう』とする視点からの知恵が求められます

では、個別に取り組む項目をご案内します

『収益構造図』

・目的は、採算に関する情報を鳥瞰的に得るためにおこないます
・管理会計(直接原価計算方式)を使った例を紹介すると、縦型のボックスの左に売上を置き、右側に変動費と限界利益に分け、さらに限界利益を固定費と利益に分けて損益構造を階層的に表します
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製造原価の固変区分』

・製造原価低減や量産効果、埋没コスト、内外製区分などを詳細に検討する前に概観的に把握するため利用します
・製造原価の固定費と変動費それぞれの大きさを明らかにするためにおこないます
・縦型のボックスの右上から順に、変動費、固定費と表します。変動費をコストの大きい順に上から置いていきます。通常は、原材料費、電力費、燃料費、その他変動費、くらいで十分です。同様に、固定費も内訳を記します。通常は、労務費、減価償却費、修繕費、その他固定費、くらいです

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『収益源マップ』

・事業収益の源泉を知るためにおこないます
・目的は、事業収益獲得に投入する経営資源の配分割合を知り、経営資源の再配置検討に役立てます

*このご案内の<第12回 収益の見える化のご紹介【収益源マップ】>でご紹介したものです。改めてご入用の場合はお問い合わせください。お届けいたします

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『採算分析』(製品別、客先別/製品別)

・製品別、あるいは客先別/製品別の採算と損益分岐点分析を見るために作成します
・採算とは、固定費の回収状況のことです
・当資料の確認目的は、採算改善策のシナリオ立案と、シナリオに基づくシミュレーション情報を提供することです。ただし、収益向上策の計画段階では、詳細情報を必要としないことが大半かもしれません

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次に、【マーケットの需要構造把握】です

 需要構造とは、事業構造に対応するマーケットの実態を指しています。
特に、マーケットを同じくする現競合先、潜在競合先の情報収集と分析が不可欠です。潜在競合先とは、新技術開発型の企業では、この部分が手薄になりがちです。新規参入時には想定できないにしても、継続的に情報収集を行い、差別化に生かすことをお奨めします

需要構造を知る目的は、マーケットに対峙する自社の位置づけを知り、収益獲得に向け能動的な対策立案に役立てることに尽きます

ここでおこなう、以下の項目には定型フォーマットはありませんので、目的と調査・分析に応じ、作表が必要です。
したがって、特に説明は加えません

『用途別・需要・販売予測』

・ 製品群別・量・金額、事業年度に応じて5年間程度
9.png作成例

『マーケットシェア』

10.png作成例


その他、『競合分析』『主要競合先の原価分析』

 これらの情報を知る目的は、今後の事業収益確保に向け、自らの事業構造・収益構造をどのように変化させていくか具体策に結びつけることです

 以上、ここまでが現状実態を明らかにする進め方です


ここまでは現状実態を把握するステップですので、先にも述べましたが、本来企業で事業を推進している皆様がわかっていて当然のような内容ですが、なかなか企業内だけではできないのが実態のようです



 この先は、『提言報告書』を作成し、『課題抽出』を行い、『改革工程表』を作成していきます



 今回は、事業の方向性を見直すための当社が支援する場合の一般的な進め方を簡単にご紹介しました。
各取り組みは、企業の実態に合わせて、必要な場合とそうではない場合があり、ご紹介する企業でも実際に着手せずに前に進めた取り組みもあります。
また、企業の管理レベルの違いによってここまでに要する時間が異なります

 次回は、この進め方に沿って支援した企業の実例をご紹介いたしますが、この企業の場合、財務会計とは別の管理会計のデータが比較的揃っていたこともあり、活動期間が短く済みました(特に収益構造の把握)

 いかがでしたか

 今まで経験したことの無い変化に直面した場合、過去の成功体験や経験からくる『勘と経験と度胸』は通用しないことが多いようです
 改めて、自社の現状を正確に把握することで、収益向上の方向性を明らかすることができるのです
 言い換えれば、この厳しい時代を乗り切るには、現状実態の理解なくしては次にとるべき方策も見えないといえます

 その意味から、収益向上の具体的な方策がわからないという方は、是非ご相談ください

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